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皆々様の形と真と理、お聞かせ願いたく候

先週の金曜日、大学の帰りに秋葉原に寄って
「モノノ怪」のパネル展を見てきました。

Mononoke_01

主な目的は背景美術のパネルではなく
「キャラデザの橋本敬史さんの生設定画」でした。
「コピーじゃなくてえんぴつ描きだよぉぉぉ。はうううう、お持ち帰り~☆」
と一人だけ恍惚としてる変態でした私。まじうめぇんですもん。

まあ、有益な情報を書くならば、薬売りさんの設定で
正面から見た時に、背中から帯の先っちょがリボンみたいに
ぴょこんと出てるんですが
「嘘だけど見せる」と書いてありました。
というのも、この帯、後ろから見ると肩口から
見えるような長さではないんですよ。
でも、正面から描くときは見せると。そういうことらしいです。

背景美術も見てきましたが、単体でみると物足りない
かんじがしました。でも、背景が自己主張しすぎるのもよくないし、
テレビシリーズで通すなら十分おつりがくるほどのクオリティでしょう。
あと、やっぱああいう日本画的なものが描けるというのは、
すごいなぁと思います

で、今更ですが、モノノ怪の前身である「化猫」を初めて通して見ました。
放映当時、最終回だけ見てほったらかしにしてたんですけど、
パネル展に行ったら見たくなりました。

「怪~ayakashi~」という、確か2年くらい前に、オムニバス形式で
やってたアニメのトリを飾った一編が「化猫」でした。
深夜にもかかわらず高い視聴率をマークしたことで、
お取りつぶしになりそうだったフジのノイタミナ枠を救った立役者、
というのがこの作品の立ち位置です。
その主人公を務めた「薬売り」のスピンオフ企画として、今夏1クール放映されたのが、「モノノ怪」でした。

で、化猫の話です。

監督の中村健治さんて、確か細田版ハウルの副監督を
やるはずだった方と記憶しています。
東映(or出身)の演出家は、有名な厳しい枚数制限のなかで演出せざるを
えないので、コストパフォーマンスの高い演出をしてくれます。
画面ががちゃがちゃ動かない分、引き締まってわかりやすい。
だらだら枚数を使われるよりも、こっちの方が私は好きですね。

この化猫も例に漏れず、非常にコストパフォーマンスが高い作りになっています。
まず、キャラデザにその一端がみられるかと。
あの派手な画面でついつい失念してしまいがちですが、
昨今のアニメ事情と照らし合わせて考えれば、
相当キャラクターの線が少ない方です。しかも影なし。
にっぽん昔話を彷彿とさせるようなシンプルさです。
アップのときはそれなりに書き込まなきゃいけないのですが、
ロングで映すときは、結構省略されてます。
アニメーターの負担を減らすのも目的の一つだろうし、
このアニメの特徴の一つである、
極彩色のどぎついテクスチャを張り付けて
彩色しなくちゃいけないので、このくらいのシンプルさがないと、
画面がうるさくなってしまうというのもあるんでしょう。
特に薬売りのデザインは白眉。
いいんだよねぇ。うさんくさくて色っぽくて。

他にも省エネ策として、
テクスチャは何パターンも作っておく。
背景を非常に凝ったものにして何回も流用できるようなものにする。
画面をあまり動かさない。などがあげられます。
特に「化け猫 二の幕」は顕著で、ほとんど動いてません。
それでも、あまりそれを感じさせないのは
横手美智子脚本の会話の妙と
演出のうまさだと思います。レイアウトがかっこいい。

まあ、省エネして作ったといっても、
相当大変だったようです。
06年に刊行された「季刊S」15号の化猫特集の橋本さんによれば
「自分の限界に挑戦できたというか(笑)
アニメーター人生で一番、一日のカット数をやりました。『ナルト』の劇場版でも、最後の方では一日五百枚くらい描いた日があったんだけどそれを超えました。原画期間が一週間と十日しかない中で、三話は友達力で、みんなにアクション拾ってもらったり、
ベテランの人たちがすごくいいものを描いてくれたり…すごくよかったですね。
こんなミラクルはもうないんじゃないかと思いますね」だとか、
確かに、大詰めと題された最終回は、
まさしく「本気の東映」といわんばかりの原画陣でした。
本当に頭が下がりますね。
ちなみに同誌の中村監督によれば、
「浮世絵が動いたらおもしろい」という発想から化猫は始まったようです。

ここまで長々書きましたが、結局言いたいのは
「こういう無駄がないものって美しいなぁ」ということでした。芝居なんかもそうですが、演出家が知恵を絞って出した演出には、「そうやって表現するのか!」という驚きと興奮がいつもあります。この化猫も同じような感動がありました。

細田守にしても幾原邦彦にしても東映系の演出家は
コストパフォーマンスの高い演出をなさってて
本当にすごいなと思います。もはや尊敬の域です。
東映の人はほんとに大変だなぁとは思うけど、
がんばってほしいです。
画面の向こうで陰ながら応援してます。

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